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情画
第6章 夜明け
ただ背後から抱き、女の乳房に手を回す男の切ない表情にも目がいった。

男は女が人だろうが何だろうが構わない、赦された時を惜しみ切なく愛おしそうに女を抱いているのだった。

ああ、先生は間違いなくワタシを愛してくださっている。しっかりと感じとれたのだ。
それだけで十分嬉しかった。先生の切ない表情が想いが知れて…

最後の写真で何の化身だったかがわかる。
ディルドを入れながら沙絵さんも言ってたような気がする。


『女郎蜘蛛』

タイトル通りの写真だ。

沙絵さんに向かう先生、繋がる二人に嫉妬したワタシ。

鎖を揺さぶり体を海老反りさせて二人に近づくワタシ。

鬼気迫るワタシは上げた顔が背中の下にあり、その脚は蜘蛛の如く開いて天を掴み、結ばれた腕を震わせ指は何かを掴もうとしていた。

唾液が飛び散り、それは口から吐かれる蜘蛛の糸に写っていた。
カッと見開いた目は獲物を狙う鋭い光を放つ。

女の殻は破れ、本来の姿を見せたワタシは女郎蜘蛛そのものだった。


「綺麗よね。」

「はい?」

「最後の写真が一番綺麗だわ。」

「いえ、自分でも恐ろしいくらいに醜いですが…」

「そう?欲を剥き出しにした美しい姿よ。」
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