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情画
第6章 夜明け
「違うわ。まず醜いと思ってないし、二人とも蜘蛛だったのよ。」

「えっ?」

「お父様は縄で、いずみさんはその美しさで、互いに糸を絡め合い縛り付け、縛られて、巣に留まっているの

8年もの隔たりがあったのにね。」



「沙絵さん、一つだけ言わせてください。」

「何?」

「ワタシ、沙絵さんに言われるほど美しくない。」

「うふふ、綺麗よ。外見もだけどここがね。」

沙絵さんは、ワタシの乳房というより、胸、いや心臓を指すように爪を立てた。

「愛し合える人と出逢ったら、そうなるのかしら…
見返りも何も求めない愛…」

ワタシはそれほど先生を愛しているだろうか、不安になるほどの真っ直ぐな瞳で沙絵さんに見つめられた。

「あの日、いずみさんは奴隷契約に応じると思っていたわ。どうして逃げ出したのかしら…」

「自分に負けたんです。」

「えっ?」

「沙絵さんと先生の関係は、最初は廊下に漏れる声で知りました。

そして、アトリエの奥の間で見ました。

縛られてアトリエで沙絵さんに見られた時、先生を信じました。

でも、先生が咎められていたあの日…

ワタシの目に入ったのは、沙絵さんの体に残された痕でした。

先生はワタシの為に、絶対に痕が残るようなことはしなかった。

それを身体中に付けられる沙絵さんが羨ましかった。」
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