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情画
第7章 曙
テーマのない肖像画、これも普通でないことなのに、ワタシは何も気づかずに、沙絵さんと先生の絵を見ていた。

色付けが進むにつれ、絵の沙絵さんは立体的になり、静のポーズではあるが、息をしそうだった。

綺麗…

声をかける雰囲気でもなく、ワタシは心の中で思っていた。

30分くらいかかっただろうか。
コトリと筆が置かれて絵の完成を告げる。

ワタシは立ち上がって作品を見た。

写真のように忠実に小さくなった沙絵さんが居た。

でも、写真よりも生き生きとしていて、澄まし顔の沙絵さんが表情を変えそうにリアルなのだ。

「いずみさんがため息ついてどうするのよ。モデルでも描き手でもないのに…」

沙絵さんがこっちに向かってきた。立たされて、椅子を先生の斜め後ろに近づけられた。

「ここでもう1枚描き終えるまで見ていてね。」

腰掛けた途端に後ろ手に縛られ、胸も椅子に括られる。足も座面に掛けさせられ、開いて縛られた。

何でこんな必要があるのだろうか。
やはり沙絵さんの考えることは理解できなかった。

先生はこちらを見ることすらなく、次の作品の為の準備をしていた。

縛り終えると沙絵さんはクスリと笑って離れて行った。
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