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情画
第10章 四季咲き
「もう少し、肌の色付けだけ終わらせてもいいですか?」

は、はい…

突然声を掛けられて、先生を見上げる。

先生はとても満足気に微笑んでいた。

色作りを始められたので視線を百合に戻した。


筆の音がする。

ワタシこの音が好きだ。
先生が思いを込めて絵のワタシをなぞる音。

今はワタシの体を色付けしてるのよ。

ワタシは勝ち誇ったように百合に話していた。

アナタに美しさでは負けるけど、先生はいつもワタシの体に一番に色を付けてくださるのよ。

初めて絵になる百合に教えるように心の中で念じた。

コトリ…

「休憩にしましょうか。」


ワタシはその言葉を合図に畳から降りて、先生の側に行った。

恥ずかしいけど思いも体も抑えられなかった。

先生が筆を片付けるのを待って後ろから抱きついた。

「先生、ワタシを抱いてください。」

先生の背中がビクッと動いて振り向かれる。
言ってからやはり恥ずかしくてワタシは俯いてしまう。

先生に手首を掴まれ、引かれるように寝室に連れて行かれた。


「僕も休憩と言おうか迷ったんです。

貴女を毎日でも抱きたい。自制しなければとたしなめたんです。」

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