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情画
第10章 四季咲き
なんとしてでも、受粉したい。
花の構造自体がイヤらしい女の性[さが]を物語っていた。

女性器そのものも男性器を取り込んで喜ばせ、逃がさないように蜜を滴らせ、突起を持っている。


性といえばそれまでだが、百合も女も必死なのだ。

今、百合もワタシも崩れた姿で先生に斜に構えている。

百合とワタシは反対に頭をもたげ、気のない素振りをしながら、競い合っているのだろうか。


揺れる朱色の雄しべも毒々しいが、清廉にみえる白い花びらの中でひっそりと頭をもたげるオンナも負けていない。


日常の中にある欲…

まさに、肌も大して露出せず、活け花を楽しむワタシは、百合と競い先生を呼び込もうと、必死に毒素を吐いているのではなかろうか。

先生…
百合でなくワタシを見て、

黄緑の着物の花弁を剥いて、白い着物に包まれたワタシは、先生の百合になりたい。


恋敵の百合を見ているように言われたワタシは嫉妬に狂い先生に念じる。

ワタシを見て、触れて、抱いて欲しい…と。




着物にあしらわれた歩く百合を題材にしたあの時とは違う。

今はワタシ自身が百合になり、恐ろしいほどの女の性を剥き出しにして、先生を想うのだ。
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