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情画
第14章 テスト
「丁寧に良く描けたね。

今日は一本じゃないから、実くんの好きなところから描けばいいよ。」

「はい先生。でもね。もうこの咲きかけのしゃくやくに決まってるんだ。」

「さて、どこから描く?」

「やっぱり、パワーを送る茎からだよ。」

「そうか、でも他の茎の葉はどうする?」

「うーん、うーん、いっぱいあるね。」

「実くん、見ないことにするって方法もあるよ?」

「見ないことにする?」

「ないように見て描かないって方法だよ。」

「そっかぁ…それにしてみる。」


実はニコニコして花を覗く。

「先生っ…葉っぱの影になってる茎の色はなかったことにしなくていいよね。」

「ああ、実くんはそこまで気になるか、そのまま影は描いていいよ。」

「うん。描いてみるね。」

実はクレパスを選んだ。

「そうだママも一緒に描くって約束だったよね。」

「あ、はい。そうだったわね。」

ワタシも実の隣のページに描くことにした。


「じゃあ僕も描こう。」

先生もスケッチブックを取り出した。

「皆でクレパスで描いてみよう。」

先生の掛け声と同時に皆で紙に向かった。

誰も話さない、各々が各々で絵に向かう時間、静かな空間が生まれた。
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