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第17章 新芽

｢満足しましたか？｣

はぃ…先生は？

｢十分すぎるくらい満足ですよ。｣

優しく肩を撫でられる。

先生の温もりに包まれて、ワタシは眠りに落ちていった。



ｺﾝｺﾝ…

｢いずみ、シャワーを浴びてお昼にしましょう。｣

｢え…｣

先生が居なくなったのにも気づかずにたっぷり寝てしまう。

｢あ、はい。｣

着物を羽織ってでると先生がキッチンに向かわれた。

｢今日はパスタです。｣

トマトとチーズの香りが食欲を誘った。

｢いただきます。｣

｢つわりとかないですか？｣

｢ええ、実の時あんなに酷かったのが、嘘みたいに…
でも、寝てばかりですね。｣

｢二人分食べて休まなきゃですからね。｣

｢先生に甘えすぎて怠け者に、ダメ人間になってしまいそうです。｣

｢妊娠、出産、子育ては大変な仕事ですからね。
とにかく今は体を大事にしなければ…｣

沙織さんを失った先生にとって、出産は凄く大変なことなのだろう。

でも先生と一緒に暮らしていけるという喜びのためか、実の時より本当に楽だった。

ピンポーン…

｢あ…もう実が帰ってくる時間…｣

ワタシ達は食器を下げて玄関に向かった。

ｶﾞﾁｬｶﾞﾁｬ…

｢ママっ、ゆうパパ〜
僕のおうちが…おうちがなくなっちゃう〜｣