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情画
第20章 曼珠沙華
「この花はね。葉っぱより先に花が咲くんだ。花が終わると葉っぱが出てくるんだよ。」

「ふうん。順番が反対なんだね。」

「だから、急に現れて咲いたように思うんだ。」

「忘れないでねってこと?」

「そうかもしれないね。」

「さえママ、僕、忘れないよ。ちゃんとお水あげて育てるからね。」

先生は実の頭を撫でていた。


沙織さんがいて、沙絵さんがいて、ワタシたちがある。

実の言葉に気づかされる。
嫉妬していたのが恥ずかしい。ワタシたちは皆に守られて今があるのに…

沙織さん、ありがとう。
ワタシは心の中で呟いた。



「さあ、おうちに入っておやつにしようか。」

「さえママ、明日も来るからね。」

実を真ん中に手を繋いで屋敷に戻った。


沙織、君だけで先に逝かせてしまってごめんなさい。沙絵も独り立ちしていったよ。
僕は、君が人生を掛けて守ってくれた絵を描き続けてる。

そして、絵を通じて家族も出来た。
守ってくれてありがとう。

葉(母)亡くして花開く。

いずみを愛すること、この家族で生きていくこと、守ってください。
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