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情画
第21章 秋
落ち着いたところでバスルームにいき汗を流す。

二人だけの時間、やはり今にしよう。用意したものを準備した。

バスローブを羽織り、夜景の見える窓際に置かれたソファーに二人で腰掛けた。

「いずみ、順序が滅茶苦茶になってしまったけど、僕と結婚してください。」

驚く貴女の手を取り、その手のひらにそっと箱を乗せた。

はっ…

貴女は大きな瞳を更に大きくして驚いていた。



実家での挨拶はあまりうまくいかなかった。

父は頑なに先生を否定する。会社勤めでない先生を働いていないかのように詰る。

先生は穏やかにそれに耐えていた。先生の仕事がどうなっているのか、一緒に暮らしても良くわからない。

わかったのは、月に一度出来た絵を纏めてどこかに配送するだけだった。

生活も不自由していない。
買い物でもしっかりと良いものを選んでいるのが窺えた。

でも、先生は父に反論することなく黙って受け止めていた。

ところが、ワタシ達が実家に戻るように言われると、静かにはっきりと断った。

実のことも手離さないと言い切った。
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