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情画
第21章 秋
僕は沙織と自分の家柄のこと、沙絵の存在など包み隠さずに話した。

「世間知らずのお坊ちゃんで苦労も知らないというわけじゃないんだな…」

お父さんはお酒をチビチビ飲みながら、庭に向かって吐くように呟いた。

自分の好きな仕事をして、家で仕事をする関係上、窮屈に思わせるぐらいにいずみや実と一緒に居られる状況も説明した。

「俺たちの時代、会社に入るという選択肢がほとんど占めていたからなぁ…」

またポツリと呟く。

「奪ったのか、奪われたのか、そもそも壊れてたのか…

今となっては原因を突き止めても仕方ないだろう。

でも、今からは一緒にいるんだ。娘と孫を頼んだよ。」

庭に向かって吐き出していったあとポンと肩を叩かれた。

「それだけは僕の望みであり、幸せだから、間違いなく守りますよ…

お父さん。」

「ここだけの話、前の亭主は此処にあまり寄り付かなかったしな、酒を飲んだり、将棋をしたりもなかったから、よくわからん奴だった。

まあ実の様子を見れば君の存在が大きいことがわかるよ。頼んだよ。

さあ、風呂に先に入ってくれ。」
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