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情画
第22章 梅
「実、ここにメモがあるから、わからなくなったら見るんだよ。」

「大丈夫だよ。パパ…
おうちに帰って、誰も居なかったら、パパがくるまで待ってる。

寂しくなったら、おばあちゃんに電話する。

パパは、僕が帰ってくる頃に僕を迎えにきてくれるんでしょ?

大丈夫、任せて…」


明日から学校が始まる。
実の希望通りにはならず、ワタシのお腹はもうはち切れそうなほど大きくなっていた。

学校が始まっても、宿題の前後に、段取りの確認をする。

成人の日の連休も過ぎていった。



「実、今日は出かける日だからね。」

「そっかぁ、パパ、ママ結婚おめでとう。」

「ありがと実。」

「今日ね。庭の梅の花、一つ咲いたよ。」

実は水やりの要らなくなった冬場も、朝一番に庭の花木をチェックするのが日課になっていた。


「ほらね。あそこ。」

「梅は強いね。こんなに寒くても花をつけて…」

「ゆうパパ、赤ちゃんは寒くて出てくるの嫌になっちゃうかなぁ。」

「どうだろうね。どんなに寒くても産まれる日に出てくるんだよ。」

「そっかぁ。赤ちゃんも強いんだね。」

実はワタシのお腹を擦り走り出す。

「いってきます。」

「気をつけてね。」

「うん。」
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