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情画
第3章 闇夜
「パパ〜昨日一緒に寝てくれなかったね。

いつ出ていったの?」

「ごめんな、実。お仕事の電話がきて、そのまま戻らなかった。」

「そうなんだ。お仕事頑張ってね。」


実と主人が同時に起きてきたので、昨夜の話にもならずに済んだ。

「パパ、いってらっしゃい。」

「うん、いってきます。」




「ママ〜今日も絵が変わってるよ。」

「本当だね。」

「じゃあ、僕いってくるね。」

「はい、気をつけていってらっしゃい。」

カタカタとランドセルが鳴る音、ワタシの心は背中で揺れるランドセルのように揺れていた。

体が心が、何かに突き動かされるように揺さぶられる。

ワタシは遠目に絵を確認した。

そこには一輪の薔薇だけが描かれていた。

蕾が少し綻び、蜜を溢れさせていた。

美しい絵なのに、ワタシにはそれが先生の筆にしか見えなかった。


先生と沙絵さんのこと、考えなおす余裕もないままに、昨夜の主人とのこと…

寝室を片付けなければ…
思い出して家に帰った。



シーツにはワタシが作った染みが出来ていた。ショーツもそのままで布団に埋もれていた。

夢だったら、悪夢でも夢だったら良かったのに。

汚れたものを剥ぎ取り洗濯した。

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