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情画
第3章 闇夜
「私、喘息持ちだったでしょう。だからペットとか飼えなくて。
あなたに着けてもらえて嬉しいわ。」

填めた首輪にチェーンのリードが付けられた。

「大型犬をお散歩させるの夢だったの。いくわよ。」

グィッ…

リードが引かれる。
ワタシは慌てて玄関に足を上げた。

「なにやってるのよ。犬は二足歩行しないわよ。」

沙絵さんがリードを下に引っ張る。

「躾甲斐があって面白いわね。」

こうしてワタシは犬になった。


コンコン

「お父様入るわよ。
いずみさんがいらしたわよ。」

ドアを開けて中に入る。
四つん這いで裸で鎖を付けられているというのに、

「ようこそ。」

先生は絵から視線を落とし、普通にワタシに挨拶された。

「お邪魔してます。」

いくらきちんと挨拶しても、四つん這いにこの有り様だ。

先生は眉ひとつ動かさずに絵に戻られた。

先生は沙絵さんの写真を題材にワタシの絵を描いている。

縄化粧を施され、腕を頭の上で組んだ背面の絵だった。

先生が写真から絵を作られている。
もう何もかもあの時と変わってしまったのだろうか。

そのことが、沙絵さんの仕打ちよりも悲しかった。

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