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情画
第3章 闇夜
女性の感性なのか、どこか美を追求していることが窺える。

ピント合わせなのか、現像技術なのか、
ぼやけた部分と鮮明な部分が伝えたいことを明らかにしていた。

最初に撮られた背面の写真と前面の写真。
それは、先生の続き絵の、芍薬と牡丹を連想させた。

背面の写真は迸る欲を表し、その背中は男を誘っていた。

それに対して前面の姿は、恥じらいながらもしっかりと欲を孕んでしまい俯き気味の女の内面を写していた。

血は繋がらなくても、父娘なんだな。
手段も何もかも違うのに、感性はこんなにも似ているんだ。

離れられない強い繋がりがあることを感じた。



「いずみさん、こっちへきて。」

沙絵さんがドアから呼ぶ。ワタシはアトリエから出た。

沙絵さんに導かれて今まで入ったことのない奥へと向かう。

「無駄に広い屋敷よね。」


アトリエが応接間を潰して作られたものだと思っていたのに、応接間に通された。

途中、あの日に先生が拘束されていた部屋を通りすぎる時は胸が痛んだ。


「どうぞ」

温かいクリーム色の壁、サイドボートやテーブルなどが統一された家具で落ち着いた部屋だった。
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