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星と僕たちのあいだに
第5章 それぞれの枕辺
 
河村と別れて一年が過ぎたころ、高校時代の恩師の訃報(ふほう)があった。
恩師の弔問に訪(おとな)った際、同級生だった渡瀬と偶然再会し、同居人だと圭司を紹介された。

その出会いは、鬱屈(うっくつ)していた早苗の心にすずしい風をそよがせた。
アーティストらしく大らかで、悪びれたところのない白石圭司への第一印象はその後も変わることはなく、好意がそれ以上のものになるのに時間はかからなかった。

圭司への想いが確かなものになるにつれて河村との過去はリアリティを失い、記憶のひとつへと変わっていった。

間をあけず、早苗は港湾地区の男所帯に転がりこんだ。
共同生活の既成事実を積みあげてゆくことは、早苗の日々のよろこびとなった。
何よりも、当時失恋したばかりだった圭司の傷がいえるのを、いちばん近くで静かに待つことができる。
その間、特別な関係にならずとも圭司を身近に感じるだけで、早苗の日常は陽当たりの良いものになった。
二カ月前の雨の日、麻衣が現われるまでは。


バイパスに入り、河村はすこし多めにアクセルを踏んだ。
規則ただしくゆき過ぎていくオレンジ色の道路灯が、情交へのカウントダウンを刻むようで、早苗はゴクリと生唾をのんだ。
恋情との決別を覚悟するには、これ以外のすべを早苗は持たなかった。

その夜、ベッドでの河村のふるまいは、乱暴だった。
エレベーターでのキスを早苗が拒んだからである。

こともなく誘いに応じ、ここへ来るまでにさしたる抵抗も示さなかった早苗の拒絶には、どこかちぐはぐなものがあった。
その真意をつかみ切れないまま、河村は腑に落ちないといった表情で考えをめぐらせた。
突然態度を硬化させた早苗をじっくりと手なずけるか、手荒に服従させるか。

以前と同じようにいかない焦りと、唇を拒否された きまりの悪さが、河村に後者を選ばせた。
プライドにかけて、早苗の身も心も徹底的にもてあそんでやろうと今夜の方針を定めたのである。

それは早苗の望むところでもあった。
抵抗をゆるさない烈しさをもって抱いてくれればいい。
愛などいらない。
我を忘れさせてくれるほど体を欲しがられれば、それでよかった。



 
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