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星と僕たちのあいだに
第5章 それぞれの枕辺

河村が人さし指を早苗の前に揺らした。
早苗は首を振ったが、それが拒否ではないことを河村は知っている。
『いくつ欲しい?』
人さし指に中指がそえられ、次いで薬指が足されると、早苗は悩ましげに口をあけ、陰茎を舐めるしぐさで舌を動かした。
『欲しいか』
早苗がぽっかりと口を開く。
河村はまとめた三本指を早苗に近づけ、早苗がそれへしゃぶりついた瞬間、さらに深く腰を送った。
『んぐっ……!』
めりこむような挿入の快感にわななきながらも、早苗は、陰茎に施すよりもいやらしく河村の指を吸いしゃぶった。
その姿が、河村の理性を粉々に砕く。
河村は猛り、両足をかかえて快楽を欲しがる女に激しく腰を衝突させ、柔軟な膣の内部で暴れた。
――――(もっと、してっ!)
何度も最奥に突きあてられているのにもかかわらず、なおも早苗は欲しがった。
勃起し、硬直にふるえる男根で突き崩され、破壊されなければならなかった。
愛などいらない。
現実を置き去りにする快楽だけが必要だった。
『もっともっと、もっと冒涜(おか)して……!』
ひしと抱いた両足をばっくりと拡げて河村をあおり、早苗はそう願わずにいられない。
むなしさが、静かに、心のなかへ割りこんでくるのを感じるからである。
自らの分泌液がたてる音、シーツの布ずれ、河村の呼気、ベッドのきしみ、エアコンの風、バイパスを通過していくタイヤの音……。
河村に突きあげられながら、早苗はそれらを明確に聞き分ける自分に気づき、前後不覚になれないことに焦りをおぼえた。
セックスが気持ちいいのに。
貫かれ、狂おしいまでに快感を得ているのに。
満たされない。
カラダの、心の、あちこちが埋まらずに残ってしまう。
――――(ここじゃない……やっぱり、ちがう……)

