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星と僕たちのあいだに
第7章 迷子
深夜、物音が絶え、それぞれの小屋のあかりが落ちるのをみとめて、麻衣はそっとベッドを脱け出し、気が逸(はや)るままに圭司の小屋のドアを押した。
『来たよ……』
ひそめた声で真っ暗な室内をうかがうと、半身を入れたところでいきなり手首をつかまれ、小屋の中に引っ張り込まれた。
驚きの声を出すまもなく手際よく抱きすくめられた麻衣は、ドアがあくのを固唾をのんで待っていた圭司に唇をふさがれた。
『ぅんっ……んっ……』
むさぼるような、息のあらい、熱のこもった接吻がしばらく続いた。
唇を吸いあったまま、圭司が指先で軽く押したドアが静かに閉まり、後ろ手を伸ばした麻衣がカチャリと鍵をかけた。
息がつづく限りの競りあうようなキスは、先に麻衣がギブアップした。
『はぁ……ふぅ。
こんな真っ暗なのに
確かめもしないで。
人違いだったらどうするのっ』
麻衣は小声で圭司をとがめた。
『浩ちゃんなら、吐いてたね』
圭司が茶化すと、麻衣はクククッと笑ってから、つと真顔に戻し、圭司の頬をキュッとつまんで声を忍ばせた。
『もし早苗さんだったら?
問題だわ』
糾弾の口調で言ったあと怖い眼をした。
『そりゃ大問題だな。
おこごとじゃ済みそうにないし、
どんな罰でも受けます』
『容赦しなくってよ』
麻衣はほくそ笑んで、つまんだ指先に力を込めた。
『次からよく確かめるよ』
そう言って圭司が唇を近づけると、麻衣は、背伸びしてそれをキッと噛み、痛がる圭司の手をとって豊満な胸に添えた。
『今日からね、
ここも、他のところも全部、
私のものじゃなくなったの。
大切に扱ってもらわないと困ります。
それと返品はききませんので、
そのおつもりで』
圭司は苦笑して、麻衣のパジャマの胸元へ手を入れ、強く乳房をつかんだ。
その力強さに麻衣は小さくうめき声をもらした。
『ナマモノ、
開封するぞ……』
乳房をわしづかみにしたまま、圭司は、麻衣の唇すべてを口に含んだ。
普段の優しさを後退させた、わずかに野蛮な色合いを帯びたキスは、そこから先の行為を圭司がどう為すつもりでいるか示唆しているようで、少なからずそれに期待してしまっている自分自身に、麻衣は、ゾクッと背すじをふるわせた。