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星と僕たちのあいだに
第7章 迷子
麻衣はセックスを少し理解できたような気がした。
言葉や想いや、ましてや愛に形はない。
だが、形はなくとも何かに仮託し、事寄せることはできる。
それこそが人間のセックスなのだと麻衣には思えた。
肉体をあわせ性器を交わらせることで、相手に愛を託(ことづ)ける。
愛しあう者どうしのセックスは、いわば手紙を書きあうようなものなのだろう。
肉体は便箋で、性器はペンやインクのようなもの。
体がなければ、思いは届かない。
麻衣は圭司を寝かせ、体のいたるところへキスをした。
圭司は、硬く、強く、そそり立っている。
はちきれんばかりにふくらむ圭司の訴えが、麻衣には狂おしい。
そりかえる圭司を両の手のひらに包みこみ、ことさら丁寧に舌を這わせ、口に含み愛しんだ。
愛する男は快感を得るたびに、体を引きつらせて歓喜してくれる。
それが嬉しくて、麻衣は圭司へ視線を粘着させながら、たっぷりと性の匂いのする口づけを猛るものへ捺(お)しつけた。
亀頭をくるんだ愛くるしい唇の輪が、細かくしゃくるように陰茎の地肌をすべり降り、這いのぼる。
頬をへこませてほおばる麻衣を、快感に身を爆ぜさせながら圭司がじっとみつめる。
その視線を痛いほど感じていた麻衣は、苦悶のしわを浮かばせる圭司がかわいくて、行為を見せつけるように体をよじり、表情をゆがめてみせた。
そうして何度も何度も喉の奥へと圭司を運ぶうち、やがて麻衣は、自分の口のなかを圭司で満たすこと自体に興奮をおぼえはじめた。
口をもちいた行為の苦しさのなかに、なにかしら気勢をたかぶらせるものがあり、それが自分自身の性的なよろこびとつながってくる。
それに気づいた麻衣は、ことさら深く、圭司を喉の奥へつめた。