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星と僕たちのあいだに
第7章 迷子
腰から下を圭司に占有させたまま、腕を立てて身を起こした麻衣は、背後の圭司へ手を伸ばし、体じゅうを「消毒」してほしいと哀願した。
その手首をつかんだ圭司が、麻衣を揺さぶりながら訊き返した。
『しるしを、つけていいか?
俺のものだって』
息を切らせた圭司の問いかけに、麻衣はグラグラと動いていた首をしっかりと縦にふり、横顔にまとわりつく髪のあわいから、『たくさん』と言った。
圭司は深くつながったまま、麻衣の上体を起こして背後から抱きしめた。
乳房を揉みしだきながら首筋や背中へ無数のキスを落とし、その痕跡(こんせき)を背をしならせて体をあずけてくる麻衣の白い肌に刻み付けた。
麻衣の腕をとり、肩から肘にかけて舐めあげ、二の腕の内側に歯を立てると、喉をそらせた麻衣のあえぎ声は完全に溶解した。
水分をたたえた多肉植物に爪を立てたくなるのと同じように、弾力にみちた麻衣の肌に歯をあてる圭司は、そこに破れ目をつくりたくなってしまう。
麻衣を裏返して大きな乳房に吸いついたとき、肉の反発とその歯ごたえに究極的な何かが腹の底から誘発されて、圭司は、麻衣を「食べたい」とさえ思った。
この世で生きているのは、激しく求めあう自分たちだけのような気がした。
吸いついた乳房を強く噛み、狂おしいほどのくちびるの愛撫を麻衣の肉体に捧げ、圭司は折らんばかりに麻衣を抱擁(ほうよう)した。
『ふ! うっ……!』
圭司があまりに力強かったので、肺のなかの空気が吐き出され、息苦しさで麻衣がうめいた。
力をゆるめて、圭司が麻衣の顔を両手につつむ。
ふたりの視線が間近で交錯した。
『麻衣が、
好きで、好きで、たまんないよ』
しぼりだすような訴えだった。
息を切らした、なめらかさのない言い方の、その言葉のひとつひとつが、闇の中で麻衣の骨の髄(ずい)に沁みていった。