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第7章 迷子

　
麻衣はかぶりを振って圭司の頭を抱きしめた。
気が触れたみたいな激しさで腰だけを動かし、胸にかかえる圭司の髪をかきむしった。

『ね、私、もう……あぁっ！』

びくりと震えた麻衣が圭司にしがみつき、全身をこわばらせて痙攣（けいれん）した。
絶頂をむかえた麻衣の体は快感に支配された。
うんと深くまで麻衣に取りこまれた圭司は、きしむほどに締めあげられ、口を飛ばされたシャンパンのように麻衣の中へすべてを放った。
押し殺したうめき声がふたりの喉を同時に這いのぼり、極に達した圭司と麻衣は、自分の体全体が性器そのものになったような錯覚におちいった。


乳房に押しつぶされていた圭司が顔を上げて大きく息を吸った。
汗がふたりの背や腹を幾筋もつたい、麻衣の鼻息が圭司の前髪を揺らした。

ふたりはマットレスに転んで息をととのえた。
圭司の腕のなかで溶けたように脱力していた麻衣は、しばしの虚脱に寂寞（せきばく）をおぼえ、胸を上下させる圭司にしがみついて頬ずりした。

『ふぅぅ、麻衣って……
　意外と力つよいんだな』

圭司の喉元へぐりぐりと顔を押しこんだ麻衣が、ごめんなさいと言い、チュウチュウと圭司の喉を吸った。
甘えたくて仕方がない気持ちを、麻衣はどうすることもできなかった。
絶対に離さない、どこにも行かせない。
そんな思いが麻衣の心を統（す）べていた。