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星と僕たちのあいだに
第2章 優しい場所
『荷物持ちぐらいはできます。
私、いきます』
『じゃ決まりだ。明日早いから、
今日はもう休んだ方がいいよ』
『はい、わかりました。
お弁当の用意だけしますね』
お願いします、と言ってリビングへ戻ると、テレビを見ていた渡瀬が身体を震わせて笑いをこらえていた。
現地の自然の良さをアピールした、まわりくどい誘い文句を渡瀬にすべて聞かれていたのが恥ずかしくて、圭司は通りがけに渡瀬の頭を一発はたき、小屋へ戻ってベッドに転んだ。
携帯電話が鳴り、見ると渡瀬からのメールだった。
《時間作ってくれたんだな
ありがとう。
明日の夜、早苗と話す。
それと、
そんなにイイとこなら
次は俺も連れてって♡》
ひとつ舌打ちして、圭司は短い返信をしたためた。
《頑張れよ。
ホモじゃないって
早苗に証明してやれ》
圭司は汗くさい枕に顔をうずめ、渡瀬の求愛を早苗が受けいれてくれれば、と祈った。
そして今夜の眠りの中に、麻衣を夢に見たいと願った。
湯上りに頬を朱くした麻衣の、青みがかった白い肌。
圭司はそれを美しいと思った。
第二章 優しい場所