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星と僕たちのあいだに
第5章 それぞれの枕辺
突然、ケトルがけたたましく叫んだ。
圭司の腕の中でキスに陶酔していた麻衣が、ビクッと身を縮めた。
その驚きようが愛らしくて、圭司は麻衣の頭をおしくるんで、ぎゅぅっと胸に押しあてた。
『お湯が沸いたんだよ』
『もう、おじゃま虫ね』
ねぇもうちょっと消毒して、と圭司の胸のあたりをギュッとつかんで麻衣が背伸びすると、圭司は唇を重ねたままコンロの火を落とした。
夜な夜な、互いの小屋に忍びこむ以外に、四人の共同生活にあって二人きりになることは滅多にない。
絶好の機会ではあるのだが、仲間と共有のキッチンで朝から睦(むつ)みあうことに、麻衣はなにか禁を破るような、心にうずくものをおぼえた。
『すごくイケないこと、
してるみたい……』
『じゃ、どうする?』
意地悪な目つきで圭司がのぞきこむと、麻衣は、恥じらいの色を隠すようにうつむいて唇を巻きみ、少し迷いをみせたあと、首をかしげて答えを待つ圭司の耳もとに口を寄せ、悪事を手伝わせるかのように声をひそめた。
『お部屋で……抱っこして』
ひっそりと薄暗い圭司の小屋に、ふたりの荒々しい息づかいが響く。
誰もいない日常空間での不徳は、若い男女を興奮させずにはおかなかった。
感情のブレーキは熱をおびて滑りはじめ、その機能を徐々にうしなっていった。
ふたりは着ていたものを慌ただしく脱ぎ散らかしながら、たかぶるままに唇を吸いあい、手がかりを捜すかのように、互いの背中にまわした腕を落ちつきなく動かした。
圭司のあぐらに麻衣がまたがり、ふたりはねっとりと頬をすりあわせた。
互いの肩や首筋に舌を這わせあい、ときおり強く吸い、甘く噛む。
耳元に響く舐めずりの音だけで、麻衣はとろりと濡れた。
麻衣の尻に埋まっていた圭司の指先が豊満な尻の谷間をたどり、無防備に口をあける麻衣の核心部分からしたたる蜜にからむ。
口を開ききった蜜壷に指先をひたしつつも、圭司はわざと核心へさしいれず、襞(ひだ)の付け根を二本の指でなぞりあげながら、麻衣の耳もとに意地悪くささやいた。
『イケナイことなんだろ?』
あえぎ声を押しころした麻衣が羞恥に満ちる。
圭司は、うなずき返す麻衣の頬を手のひらで優しく包み、息をせかせる唇に何度もキスをした。