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第5章 勝利とカボチャ

「ただ単にデータが不足していたからにすぎないよ。実証できないものは発表しても意味がない。時期尚早と判断したまでた。それは……隷従超鋼の元素配列を観察しているときに閃いた着想だった。私は確信したんだ。このレアメタルには必ず《対》となる存在があるはずだとね」

　話が見えなかった。ユリカはいぶかしんだ。研究秘話の披露をするには場違いだろう。それに、こうして自分が非人道的な扱いを受けている理由とも思えない。

　その怪訝な表情に気づき、天寺が慇懃無礼な詫びを述べる。

「やあ申し訳ない。こういったことに関して対等に話し合える頭脳の持ち主が周りにいなくなってしまってね。つい長々と話をしてしまった。それに関してはこの異動も良し悪しだったなと反省しているよ……本題に入ろう」

　本題とはつまり、とでも言うように間を置く。

「我々人類の今の状況についてだ」

　核心に触れる口調だった。