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マスケッティア・オブリージュ ~凌辱の四美銃士~
第8章 ノエル=シューヴルーズ
王都ファリスへと続く道を馬に揺られて進む女銃士の姿があった。
猫のような大きな目と小柄な体格にあっては、凛々しい銃士隊の制服に身を包んだその姿も、愛くるしい玩具の兵隊のようにも見える。
それでいて鞍に預けた腰はしっかりと女らしい膨らみを形作っており、胸などは手綱を持つのに邪魔ではないかと、見る者に要らぬ心配をさせるかのように成熟を誇っていた。
昼下がりの陽光を輝く輪にして胸までしなだれ落ちる金髪が、澄んだ風に吹かれて穏やかになびく。眉に被せて上品に切り整えられた前髪、頬を抱きしめるかのように優しく内側にカールさせたその髪型は、たおやかな少女と優雅な大人の気品を兼ね備えた彼女の美貌によく似合っていた。
――ああ愛しいノエル、次に逢えるのはいつだい?
別れ際に恋人が後ろから彼女をそっと抱き締めて囁いた言葉と、背に残った温もりを繰り返し反芻していれば、王都までの帰路は瞬く間の行程にも感じる。
ノエル=シューヴルーズ。
品の世さと清楚さが自然と漂うのは、隊長のカテリナと同じく彼女が貴族の出自であることの賜物だろう。
後続の荷馬を従者に引かせ、彼女は今、所領の保養地からの休暇帰りであった。
(ああ……レモンド……私の可愛い人)
お坊ちゃんで少し頼りない所もあるが、ノエルを見つめるその瞳の純粋な輝き。笑ったとき目じりにできる優しげな皺。婚約者のことを想うたび、つのる愛しさを抑えるのにノエルは苦労する。
猫のような大きな目と小柄な体格にあっては、凛々しい銃士隊の制服に身を包んだその姿も、愛くるしい玩具の兵隊のようにも見える。
それでいて鞍に預けた腰はしっかりと女らしい膨らみを形作っており、胸などは手綱を持つのに邪魔ではないかと、見る者に要らぬ心配をさせるかのように成熟を誇っていた。
昼下がりの陽光を輝く輪にして胸までしなだれ落ちる金髪が、澄んだ風に吹かれて穏やかになびく。眉に被せて上品に切り整えられた前髪、頬を抱きしめるかのように優しく内側にカールさせたその髪型は、たおやかな少女と優雅な大人の気品を兼ね備えた彼女の美貌によく似合っていた。
――ああ愛しいノエル、次に逢えるのはいつだい?
別れ際に恋人が後ろから彼女をそっと抱き締めて囁いた言葉と、背に残った温もりを繰り返し反芻していれば、王都までの帰路は瞬く間の行程にも感じる。
ノエル=シューヴルーズ。
品の世さと清楚さが自然と漂うのは、隊長のカテリナと同じく彼女が貴族の出自であることの賜物だろう。
後続の荷馬を従者に引かせ、彼女は今、所領の保養地からの休暇帰りであった。
(ああ……レモンド……私の可愛い人)
お坊ちゃんで少し頼りない所もあるが、ノエルを見つめるその瞳の純粋な輝き。笑ったとき目じりにできる優しげな皺。婚約者のことを想うたび、つのる愛しさを抑えるのにノエルは苦労する。