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マスケッティア・オブリージュ ~凌辱の四美銃士~
第17章 執務机の奉仕玩具
    ※    ※    ※

「クソッ! あの爺ィ! ……なにもかもお見通しかいッ!」

 外出から戻った領事夫人ニナが自室で声を荒げていた。ブーツを靴台に乗せ、紐をほどく。

「ぐべあっ……」

 踵の部分でぎゅうと体重をかけて踏まれた靴台がうめき声を上げた。

 それはカーラだった。

 手首足首をまとめて身体の後ろでしばられ、海老反り状態の三角形の体勢。しかも目隠ししたままの頭を下にされている。

 領事夫人のブーツの踵が乗せられているのはその乳房の上だった。

「ふぐぐぐぐぐっ……」
「あいつめ……どうやって知ったのだ……全部知っていやがる……あたしが工作員だということもバレてる! この女のことも!」

 領事夫人ニナは仮の姿。その正体は帝国イグラッドの工作員ニンナーナ。

 社交界では領事夫人の顔で情報収集をし、裏では様々な工作に暗躍する。
 それがいつの間にか枢機卿に露見していたのだ。やはり数日前のピエル邸襲撃が派手にやりすぎたのだ。

 枢機卿の息子であるピエルをきっかけに暴動でも起こしてやれば、父であり、この国の事実上の最高権力者である枢機卿シャピオへの致命的ダメージと成り得る……

 そう判断しての工作だったが、終わってみれば銃士隊によって鎮静化されて騒動以上の事件にはならなかったばかりか、襲撃を返り討ちにされてしまった。あのとき倒された部下たちが手掛かりとなって尻尾をつかまれたのであろうことは想像に難くない。

 せめてもの慰めといえば捕えた銃士隊の大女だったが、不首尾の埋め合わせとしては不釣り合いだ。せいぜいがニンナーナの個人的趣味を満足させる程度の価値しかない。

 しかも、今度はそのささやかな戦利品すら返せと暗に要求されたのだ。

「クソ! クソ! クソ! クソッ!」
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