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マスケッティア・オブリージュ ~凌辱の四美銃士~
第2章 カテリナ・ラ=フェール
市民の訴えを耳にしてカテリナが振り返ると、ピエル達がこの隙にとばかりに門の錠を開けようとしている所だった。
「動くなッ!」
その背に掛けた愛銃アムールシエージュを一瞬の動きで振り下ろす。
「痛でッ」
硬い銃把で手の甲を打たれたピエルは鍵を取り落とし、取り巻き連中が慌ててそれを拾おうと身をかがめる。刹那にカテリナの掌中で銀の花飾り輝く銃身がくるりと回転する。
バシュッ!
鍵が跳ね、石畳に土埃が舞った。
「動くなと言ったが、耳がないのか?」
馬上から片手で構えられたアムールシエージュのスラリと伸びた筒先が、硝煙を立ち昇らせていた。
銃士隊の標準装備である単発式のマスケットとは違い、特注して作られた後装式連発銃のアムールシエージュ。〝愛の包囲攻撃″を意味するその名とは裏腹に、警告を発した美しき銃士隊長の冷ややかな口調は愛など微塵も感じさせぬものだった。
「ヒイイイイイイイーッ!」
「……訴えに間違いはないか?」
情けない悲鳴を上げて身をすくめる不良子弟共に向かって問い糺す。
「間違いに決まってるだろ!」
さすがにピエルは他の連中よりは胆力があった。というよりはプライドを傷つけられて激高した勢いで言い返しただけかもしれないが。
「追い払えっ! 早くこいつらをここから蹴散らせ!」
「……」カテリナが目を細める。
「……中でお話を伺わせて頂きましょうか、ピエル殿」
「お前に伺わせるお話なんかねえ! 俺様を誰だと思っていやがる!」
「……ならば」
カテリナは白々しく周りを取り囲む殺気立った群衆に目をやった。
「我々も引き上げさせていただくまで」
その言葉の言外の意図を察したピエルは、群衆と自邸の鉄門の錠、地面に転がる鍵を代わる代わる見比べた。
(チ……無理……か)
どう足掻いても逃げ込むより先に群衆の手が自分に届く。
「わ……わかった、入れっ!」
「……ご協力感謝いたします」
(クソッ! このアマ……しゃあしゃあと!)
「動くなッ!」
その背に掛けた愛銃アムールシエージュを一瞬の動きで振り下ろす。
「痛でッ」
硬い銃把で手の甲を打たれたピエルは鍵を取り落とし、取り巻き連中が慌ててそれを拾おうと身をかがめる。刹那にカテリナの掌中で銀の花飾り輝く銃身がくるりと回転する。
バシュッ!
鍵が跳ね、石畳に土埃が舞った。
「動くなと言ったが、耳がないのか?」
馬上から片手で構えられたアムールシエージュのスラリと伸びた筒先が、硝煙を立ち昇らせていた。
銃士隊の標準装備である単発式のマスケットとは違い、特注して作られた後装式連発銃のアムールシエージュ。〝愛の包囲攻撃″を意味するその名とは裏腹に、警告を発した美しき銃士隊長の冷ややかな口調は愛など微塵も感じさせぬものだった。
「ヒイイイイイイイーッ!」
「……訴えに間違いはないか?」
情けない悲鳴を上げて身をすくめる不良子弟共に向かって問い糺す。
「間違いに決まってるだろ!」
さすがにピエルは他の連中よりは胆力があった。というよりはプライドを傷つけられて激高した勢いで言い返しただけかもしれないが。
「追い払えっ! 早くこいつらをここから蹴散らせ!」
「……」カテリナが目を細める。
「……中でお話を伺わせて頂きましょうか、ピエル殿」
「お前に伺わせるお話なんかねえ! 俺様を誰だと思っていやがる!」
「……ならば」
カテリナは白々しく周りを取り囲む殺気立った群衆に目をやった。
「我々も引き上げさせていただくまで」
その言葉の言外の意図を察したピエルは、群衆と自邸の鉄門の錠、地面に転がる鍵を代わる代わる見比べた。
(チ……無理……か)
どう足掻いても逃げ込むより先に群衆の手が自分に届く。
「わ……わかった、入れっ!」
「……ご協力感謝いたします」
(クソッ! このアマ……しゃあしゃあと!)