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マスケッティア・オブリージュ ~凌辱の四美銃士~
第20章 花の都
    ※    ※    ※

 薄暗がりの中で目覚めた。

(ひ、光……?)

 長い間目隠しをされ続けていたせいで今見えているものが現実のものなのかカーラには自信が持てなかった。

「あ、あたし……どうなって……」

 あの女に囚われ、肉体をさんざん蹂躙された。あれは夢だったのか? そして何かのパーティ会場でわけのわからぬまま大勢の男達のいる場所で嬲り者にされた。あれも夢か?

 目が慣れる。自分は暗がりの中にいる。天井から洩れ差す陽の光が白い筋となって床に落ちている。体の下に散らばった藁の感触。

(どこかの小屋か……?)

 銃士隊に入る前は流浪の身のカーラは馬小屋などへの寝泊りの経験は豊富だった。空気感が似ていた。

「そ、そうだ……手足っ」

 声が出て口枷もないことに気づく。すると、あの悪夢のような出来事は文字通り悪い夢だったのか。

 両手を前に出して確かめる。

「あ……あるっ!」

 だが、感覚がない。肩は動かせる。二の腕は肩の動きに合わせてついてくる。だが、その先がピクリとも動かない。それでもカーラにとっては安堵に値することだった。恐ろしい悪夢だったのだ。

「な、なーんだ……ひょっとして、腕を下敷きにして寝ちまったんで、あんな夢を……」

 と、身を起こそうとしたとき、腹のあたりから一斉に何かが逃げ散った。

「ピギーッ!」

 子豚達だった。体温を求めて添い寝でもしていたのだろう。カーラの身動きに驚いて逃げだしたのだ。驚いたのはカーラも同じだったが正体を知って笑いが込み上げる。

「なんだ、家畜小屋で寝込んじまってたのか……? しょうがねーなあ」
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