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マスケッティア・オブリージュ ~凌辱の四美銃士~
第2章 カテリナ・ラ=フェール
一人たて籠もったその豪奢な私室の奥でピエルは悠々とグラスにブランデーを注いでいた。
「状況はどうだ? 黙らせたか?」
自分が騒ぎの元凶であることなど忘れてしまったかのようだ。その口ぶりはまるで司令官気取りである。
「お話がございます……」と切り出したカテリナの言葉を遮るようにグラスが差し出された。
「ま、一杯つきあえよ。話は聞くからよ」
カテリナはそれをそのまま床に叩きつけてやりたい衝動に駆られたが、これからの説得が困難を極めることを思い、持ち前の自制心でそれを抑えた。
最初から喧嘩腰となって交渉をこじらせたくなかったが、もちろん悠長に酒を飲みながら談判するつもりもない。受け取ったグラスを呷ってひと口で空け、目の前のテーブルに置く。
不思議な甘みがある口当たりの良い酒だった。しかし度数は相当高く、喉を通った液体が胃の腑に落ちると同時にカアッと頭を火照らせる。
「いい女は飲みっぷりもいいな! いや、たいしたもんだ……」
ピエルのお愛想を、今度はこちらの番だと言わんばかりに無視してカテリナは間髪入れずに本題に入った。
「そこの窓から広場の市民に呼びかけていただきたい」
広場に面した壁の大きな出窓を指す。やや遠くはあるが敷地を囲む壁の向こうで騒ぐ群衆の姿が見て取れる。
「あ?」
「状況はどうだ? 黙らせたか?」
自分が騒ぎの元凶であることなど忘れてしまったかのようだ。その口ぶりはまるで司令官気取りである。
「お話がございます……」と切り出したカテリナの言葉を遮るようにグラスが差し出された。
「ま、一杯つきあえよ。話は聞くからよ」
カテリナはそれをそのまま床に叩きつけてやりたい衝動に駆られたが、これからの説得が困難を極めることを思い、持ち前の自制心でそれを抑えた。
最初から喧嘩腰となって交渉をこじらせたくなかったが、もちろん悠長に酒を飲みながら談判するつもりもない。受け取ったグラスを呷ってひと口で空け、目の前のテーブルに置く。
不思議な甘みがある口当たりの良い酒だった。しかし度数は相当高く、喉を通った液体が胃の腑に落ちると同時にカアッと頭を火照らせる。
「いい女は飲みっぷりもいいな! いや、たいしたもんだ……」
ピエルのお愛想を、今度はこちらの番だと言わんばかりに無視してカテリナは間髪入れずに本題に入った。
「そこの窓から広場の市民に呼びかけていただきたい」
広場に面した壁の大きな出窓を指す。やや遠くはあるが敷地を囲む壁の向こうで騒ぐ群衆の姿が見て取れる。
「あ?」