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マスケッティア・オブリージュ ~凌辱の四美銃士~
第2章 カテリナ・ラ=フェール
 投石まで始まってしまった今、怒れる群衆を牽制するために銃士隊は不測の事態に備えさせておきたかったが、一時だけでも屋敷内に入れてピエルの強制連行に踏み切る他ないのかもしれない。

 しかし、次に発せられたピエルの返事は意外なものだった。

「いいぜ」
「……?」
「ひとりは皆のために、皆はひとりのために……いいじゃない、その心がけさぁ。よぉーくわかったよ。隊長さんの言いたいことは」

 カテリナに向かってわざとらしい満面の笑みを浮かべて見せるピエル。

「ム・ネ・を・打・た・れ・ま・し・た!」

(この物言いは一体……?)

 真面目な態度とはとても見えない。

 だが、言っていることはつまりカテリナの勧告に従うという事だ。プライドを護るために不貞腐れてみせているだけだろうか。その安っぽさは、らしいと言えばらしいのだが。

「言う通りにしようじゃないか」
「……」
「但し、ひとつだけ条件がある」

 ピエルの目が狡そうに光った。

「なんでしょう?」

 カテリナは尋ねる。どうせ下らぬ我儘の類だろうが、この際どんな条件だろうが、市民の流血を避けるためならば一考の価値はある。

「お前が俺のモノになること……」
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