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マスケッティア・オブリージュ ~凌辱の四美銃士~
第3章 堕ちる女隊長
 半信半疑ながらピエルが言うような状態になった自分を思い浮かべてカテリナの背筋に冷たいものが走る。

 が、しかし同時にその冷たさがゾクリと下腹部の下の下を熱く脈動させるのも感じる。

(な……なんなの? さっきから私の体……何かおかしい……いや! き、気のせいだ……ヤツのペースに呑みこまれるな!)

 一瞬胸をよぎった迷いと、秘めた法悦の火照りを気取られぬようカテリナは強気な態度をとって見せた。

「そんな時間などないぞ……外の市民が間もなく暴徒となって押し寄せる」
「そりゃ、お前んとこの銃士の皆さんが頑張ってくれるだろ?」

 ああ言えばこう言う。

 後悔の念。この男は話し合いなどできる相手ではなかったのだ。

(やはり多少強引でも皆で取り押さえて強制連行にするべきだったか……)

 争いを厭い平和を愛するカテリナの、法と秩序を尊重する正義の心が裏目に出てしまった。

「ファーハハハハハハハ!」

 カテリナの心の内を見透かしたかのように放たれた悪辣な笑い声をその身に浴びカテリナの顔は怒りで赤らみを強めるが、拘束の身の哀しさ、それ以上の反抗ができない。

(とにかく……この状況をなんとか脱しなくては)

 暴動寸前の広場の状況に思いを巡らす。挑発に乗っている時間も肉体の異常を思い煩う時間もない。

 辱めを受け、身動きを封じられてもなお、気丈なカテリナは望みを捨てていなかった。彼女にとって市民を守るという己の使命はそれほど大切なことだった。

(想像するんだ……無軌道な騒乱で市民の血が流れる情景を、女達が流す涙を、男達が悲嘆に暮れて立ち尽くす姿を、泣き叫ぶ子供達の声を!)

 脳裏に思い浮かべた慄然とする最悪の事態に、ふつふつと闘志と勇気が湧き上がる。

(……そうはさせない! 私の存在の全てはそのためにあるのだ! カテリナ!)
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