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第3章 堕ちる女隊長

　ピエルは動かない。

（ど……どうして触ってくれないの？）

「なんつーか、お前……肉便女としての教育が足りねーよな。母ちゃんは教えてくれなかったのか？」

　母への侮辱！　しかしそれもまた快感だった。百足の様に背筋をゾゾと這い上がってゆくおぞましくも抗いがたい甘美な被虐感。

「あ……」

（い……イイ……！）

　ピエルがカテリナの後ろ髪の中に手を差し入れ、香りを嗅ぎながらそっと梳く。細い髪の毛一本一本から火花を散らすような快感が伝わってくる。

「……はあああっ！」
「触って、だけじゃよくわんねーんだよ」

（き、気持ちいい……でもっ……違う……一番触ってほしいのはそこじゃない……）

　カテリナの太ももが自然と内股にすぼまる。もどかしいのだ。触れてほしいのはここなのだ。ここが求めているのだ……目の前の牡を……ピエルを！

（でも言えない……言ってしまったら……）

　自分の中のタガが外れてしまう。
　もう戻って来られなくなる。そんな恐怖があった。快感はそれほどに巨大になっていた。

　かぷっ

「っはあん！」

　耳たぶに甘噛み！　続けて両の耳に交互に二度三度。梳かれていた髪の房が快感の衝撃から逃げるように、噛まれた耳とは逆方向に右へ左へと跳ねる。

　ピエルは跳ね踊るカテリナの髪を後ろからグイとつかんで嬲りやすい角度に耳が来るよう下へと引っ張り寄せ、そのまま耳朶の中に舌を這いこませた。

　しゃぶっ……ぞぶぶぶっ

　音の海だ。間近に聞こえる淫音のさざ波に脳が洗い溶かされそうな。

「やあああああっ……んあああああっ」