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マスケッティア・オブリージュ ~凌辱の四美銃士~
第2章 カテリナ・ラ=フェール
 カテリナ・ラ=フェール――きりりと引き締まった優美な眉の下の知性と優しさ湛えた双眸。つばを山高く折った二角帽から零れて流れ落ちる栗色の前髪。ひと房に縛られた後ろ髪はうなじを巻いて胸の膨らみを優しく包み、ベストに彩りを添える。

 張りつめた臀部からウエストにかけての艶めかしい曲線。ピタリと肌に密着して完璧な脚線美を描き出す銃士隊の白い半パンツと丈の長いソックス。ピカピカに磨かれた武骨な黒革のブーツはむしろ、翻るコートの燕尾と共に彼女の女らしさを豪奢に引き立てる。

 手にした愛銃アムールシエージュの銃身は美しい銀の花飾りを纏ってスラリと伸び、その立ち姿はまさに花舞う王都の守護聖女といった風情。

 そんなお馴染みのカテリナの絵姿の切り抜きを眼前に掲げ、仁王立ちをした男が股間に隆々と勃起した自身の肉茎を息も荒く激しく扱いていた。

「フォッ! ヒッフ! フヒッフ! フォウ!」

 一般の民家など比べ物にならない豪華な調度内装の部屋だった。書棚や机のおいてある一角や、テーブル、ソファ、酒瓶を並べたキャビネットなどが色々と入っている所は私室のようだが、その広さは市井の者が私室と聞いて思い浮かべるそれの裕に二倍以上はあった。

 明るい陽の光差し込む窓の外には青空と階下の庭にまばらに植えられた背の高い木々の枝。誰もが羨みそうな居心地の良さそうな空間ははしかし、誰はばかることない荒い息づかいを響かせるその男によって雰囲気をブチ壊しにされていた。

「ああっ可愛いよ、カテリナ可愛い」

 男は肉茎を扱きながら愛しげに肖像画に口づけする。

 手にした肖像画を凝視して片時も目を離さぬかと思いきや、ときおり視線を外し、その向こう側へと目をやっては肖像画と交互に見比べる。

 そこには――

 肖像画と全く同じ装い、同じ背格好、同じ顔立ちの女が吊られていた。
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