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マスケッティア・オブリージュ ~凌辱の四美銃士~
第2章 カテリナ・ラ=フェール
 両手首を革製の拘束具でひとまとめに固定され、その間に通した鎖で天井の金具に吊り上げられている。

 その両脚はガバッと大きく開脚した状態で足枷によって床に固定され、下品に尻を後ろに突きだす艶めかしい姿勢を強いられていた。

 あられもなく前方に投げ出されて反り返った上体には、乳房による膨らみが着込んだベストの上からでも見て取れるほどに釣鐘を形作って男の目を楽しませている。

 この屈辱的なポーズの他に絵姿と違う点があるとするならば、それは乱れて顔の半分を覆う栗色の前髪の奥に燃える怒りに満ちた瞳であろう。

「ああっ可愛いよ、カテリナ可愛い」

 そんな有様の彼女を眺めながら、男が肖像画に向かって言ったのと同じセリフを再度口にする。

 そう、彼女はまさにカテリナ・ラ=フェールその人だった。

「くっ……」
「フォウ! フォウ! フォウ!」

 カテリナの苦しげな吐息をよそに、男はフィニッシュに向けてその手の動きを速め、高みに上り詰めていく。

(見下げ果てた恥知らずめ……)

 軽蔑を込めてその恥態を睨みつけるカテリナはしかし、まだ気づいていなかった。

 己の身の内のこの昂りが怒りによるものだけではないことに。

 それが女の本能という名の芯に灯された小さな炎となって今まさに彼女の肉体を溶かしつつある魔性の淫欲の火照りであることに。

 そして狂暴な咢をパクリと開けて彼女を待ち受ける、甘美なる淫辱の官能地獄に――
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