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マスケッティア・オブリージュ ~凌辱の四美銃士~
第4章 カーラ=ボニファス
※ ※ ※
「どけどけぇっ! 邪魔だ!」
「前を開けろ!」
カタパルト式投石機の運び手たちは遅々として進まない人波をかき分ける作業に苛立っていた。
とはいえ、あと少しだ。広場まで出てしまえば屋敷が射程に入る。そうなれば今度は銃撃に曝される危険が出るが、市民を背にする限りおそらく狙われることはないだろう。マスケットではひしめく群衆を避けて自分達だけを狙撃することはできないはずだ。
だからとにかくこの興奮する人々の中から抜け出してしまえばあとは楽な仕事のはずだった。
「クソッ! どけってのに耳も貸さねえ!」
「しょうがねえ……これだけ煽っちまってるんだからな」
自分達とは別働で群衆の中に紛れ込んでいる者達がいる。過激な言葉を発して人々の頭に血を昇らせ、暴徒を煽動する役目の者達だ。
「あいつら仕事熱心すぎるんだよ。おかげでこっちは……」
「ハッ、違ぇねぇ!」
聞かれれば何のことかと不信に思われるだろう仲間内での開けっぴろげな会話だが、どうせ周囲の怒声にかき消されてしまうのだ。心配はない。
――それが油断だった。
「なあ、お前ら……今なんか面白いこと言ってたよな。仕事がどうとか」
背後から出し抜けに声がかけられた。
「ああん?」
振り向いて声の主を目にした男達は、ぬっと立ちはだかったその人物の異形にたじろいだ。
筋骨隆々たる大女だった。自分達より頭ひとつ上の位置にある笑顔が、その裏に潜めた凶悪な敵意を隠しきれずに目を爛々として見下ろしていた。
「何か面白そうなことになっていると思って来てみりゃあ……ビンゴだったみたいだな……」
「でっ……でけえっ……おっ、女か!」
「なっ、何者だっ! テメエ!」
「ご挨拶だね、王都守護銃士隊のカーラ様とはあたしのことさ!」
「どけどけぇっ! 邪魔だ!」
「前を開けろ!」
カタパルト式投石機の運び手たちは遅々として進まない人波をかき分ける作業に苛立っていた。
とはいえ、あと少しだ。広場まで出てしまえば屋敷が射程に入る。そうなれば今度は銃撃に曝される危険が出るが、市民を背にする限りおそらく狙われることはないだろう。マスケットではひしめく群衆を避けて自分達だけを狙撃することはできないはずだ。
だからとにかくこの興奮する人々の中から抜け出してしまえばあとは楽な仕事のはずだった。
「クソッ! どけってのに耳も貸さねえ!」
「しょうがねえ……これだけ煽っちまってるんだからな」
自分達とは別働で群衆の中に紛れ込んでいる者達がいる。過激な言葉を発して人々の頭に血を昇らせ、暴徒を煽動する役目の者達だ。
「あいつら仕事熱心すぎるんだよ。おかげでこっちは……」
「ハッ、違ぇねぇ!」
聞かれれば何のことかと不信に思われるだろう仲間内での開けっぴろげな会話だが、どうせ周囲の怒声にかき消されてしまうのだ。心配はない。
――それが油断だった。
「なあ、お前ら……今なんか面白いこと言ってたよな。仕事がどうとか」
背後から出し抜けに声がかけられた。
「ああん?」
振り向いて声の主を目にした男達は、ぬっと立ちはだかったその人物の異形にたじろいだ。
筋骨隆々たる大女だった。自分達より頭ひとつ上の位置にある笑顔が、その裏に潜めた凶悪な敵意を隠しきれずに目を爛々として見下ろしていた。
「何か面白そうなことになっていると思って来てみりゃあ……ビンゴだったみたいだな……」
「でっ……でけえっ……おっ、女か!」
「なっ、何者だっ! テメエ!」
「ご挨拶だね、王都守護銃士隊のカーラ様とはあたしのことさ!」