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マスケッティア・オブリージュ ~凌辱の四美銃士~
第6章 ニンナーナ
耳慣れぬ響きの、明らかに偽名。自ら名乗るという事はその情報に価値がないということ。おそらくどこかの国の工作員だろうが――それがどこの国かはこの襲撃者たちの遺留品を後で調べれば知れる。もとより探りを入れるつもりはなかった。
ナルシャは離れて対峙する女の胸にサーベルの切っ先を向けた。
「悪いけれど、お喋りはここまでよ」
「あら、つれないわねえ……」
余裕を見せる女の手には鞭のような武器が握られていた。その先端には長い針のような鋭利な金属が取りつけてある。
間合いを計って二人が動く。ナルシャが寄れば女が下がる。
ヒュン! ヒュン! ヒュン!
女の振るう鞭がナルシャ肌やの衣服をかすめては切り裂く
「……我が鞭の射程をかい潜ってみせるか? ナルシャ=ブランシェ! いかに疾風の剣捌きと言えど……」
ズドウンッ!
ナルシャの手の中でクロトゥバヨネットが火を吹き、女の肩を砕いた。
「ぐああっ……ば……馬鹿な……その武器……」
「鞭の攻撃は弧。どれほどの鞭捌きであろうと……直線的な銃弾とは射程距離、速度いずれにおいても敵うものではないわ」
ナルシャの愛刀クロトゥバヨネットはただのサーベルではなかった。
〝短き銃剣″を意味するその名の通り、短銃にサーベルの刃を装着した遠近両用の銃剣であった。
「我が剣は剣にして剣にあらず……触れずに倒す短き銃剣。それがクロトゥバヨネット……」
「ク……ククク……さすがだな! 憶えておくぞ、ナルシャ=ブランシェ! このニンナーナを退かせる女がいるとはな!」
「待て!」
負傷した肩を押さえながらも残る腕で鞭を振り、壁際の樹の枝に巻き付けると、ニンナーナはヒラリと宙に舞い上がり、壁の向こうへと姿を消した。
(逃げられた! 追うか? しかし……)
ナルシャは思いとどまった。
あの謎の女も脅威だが、火急は隊長の救出である。
(それよりも今はカテリナ隊長の救出をしなければ!)
ナルシャは踵を返して屋敷に飛び込んだ。
ナルシャは離れて対峙する女の胸にサーベルの切っ先を向けた。
「悪いけれど、お喋りはここまでよ」
「あら、つれないわねえ……」
余裕を見せる女の手には鞭のような武器が握られていた。その先端には長い針のような鋭利な金属が取りつけてある。
間合いを計って二人が動く。ナルシャが寄れば女が下がる。
ヒュン! ヒュン! ヒュン!
女の振るう鞭がナルシャ肌やの衣服をかすめては切り裂く
「……我が鞭の射程をかい潜ってみせるか? ナルシャ=ブランシェ! いかに疾風の剣捌きと言えど……」
ズドウンッ!
ナルシャの手の中でクロトゥバヨネットが火を吹き、女の肩を砕いた。
「ぐああっ……ば……馬鹿な……その武器……」
「鞭の攻撃は弧。どれほどの鞭捌きであろうと……直線的な銃弾とは射程距離、速度いずれにおいても敵うものではないわ」
ナルシャの愛刀クロトゥバヨネットはただのサーベルではなかった。
〝短き銃剣″を意味するその名の通り、短銃にサーベルの刃を装着した遠近両用の銃剣であった。
「我が剣は剣にして剣にあらず……触れずに倒す短き銃剣。それがクロトゥバヨネット……」
「ク……ククク……さすがだな! 憶えておくぞ、ナルシャ=ブランシェ! このニンナーナを退かせる女がいるとはな!」
「待て!」
負傷した肩を押さえながらも残る腕で鞭を振り、壁際の樹の枝に巻き付けると、ニンナーナはヒラリと宙に舞い上がり、壁の向こうへと姿を消した。
(逃げられた! 追うか? しかし……)
ナルシャは思いとどまった。
あの謎の女も脅威だが、火急は隊長の救出である。
(それよりも今はカテリナ隊長の救出をしなければ!)
ナルシャは踵を返して屋敷に飛び込んだ。