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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第16章 サヨナラ、春ちゃん
強い風が吹き荒れると同時に
下の屋上の扉が開く音がして、数人の学生達の笑い声が聞こえてきた。
……だけど、私の体は動かない。
「……春ちゃん」
「………」
「春ちゃんってば」
ユキが私の両手を握って、優しく揺らす。
見つかっちゃうよって、忠告するように
私に立ち上がるように促してくる。
「……早く行って」
「………!」
「このままだと、俺の手が暴走する」
「………っ」
そう言ってユキは切なそうに笑って
私からそっと手を離すと、自分の膝の上に置いた。
「……ユキ……」
……これで、いいの?
このまま、もうユキと終わりになってしまうの?
「……もう、逢えない……よね?」
「あはは、なんでそんな悲しい事言うの」
「………!」
「逢えるよ、大丈夫。
だって俺達は生きてる」
「………っ」
「それに、俺
義兄さんのことも春ちゃんのことも、大好きだから。
……それだけは、変わらないよ」