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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第16章 サヨナラ、春ちゃん
無理矢理立ち上がらせた私を見上げて、ユキはニッコリと笑った。
「これからの関係性とか、将来のこととか
不安や迷いは色々あると思うけど」
「………!」
「だけど今、春ちゃんがすべきことは
義兄さんの手を取って、抱きしめてあげることだよ」
「……ユキ……」
「俺に告げた、春ちゃんの真っ直ぐな想い
……開放して、義兄さんに直接伝えなきゃ」
“ 遼くんじゃなきゃ、だめなの…… ”
……私の、片想い。
真実の願い。
心に宿る揺るぎない想いが、再び満ち溢れてきて
風が、私の涙を優しく吹き消していく。
「……頑張ってね、春ちゃん」
私の目を見て、ユキはどこか納得したように立ち上がると
私の体を梯子の方へ向けて、背中をポンッと小さく押した。
「次にどこかで再会する時は
お互い、笑顔で逢おうね」
「………!」
「その時が来るまで
……サヨナラ、春ちゃん」