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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第17章 約束
『……あんたさぁ』
動かない彼女を包んだまま、話し掛けてみる。
『歳いくつ?』
『………』
『週3で企画のアシスタントしてるなら……
加賀谷っていうデザイナー、知らない?』
『………』
『……あの人
普段ちゃんと仕事できてんの?』
飛行機に乗れないし
1人になってからは、インドアになってるみたいだけど
義兄さんは、俺以上に悲しみや寂しさを口にしない。
……それでも……
『……あの人、本当は
心の中でずっと泣いているんだ。
姉貴に、もう一度逢いたくて』
『………』
『……ちゃんと、笑えてる?』
……って
この酔っ払い、さっきから俺の話全然聞いてないし。
火照って赤く染まった頬を、俺の胸に埋めて
なんかムニャムニャ言ってるけど、このまま寝る気じゃないよね?
溜息をつきながらも、そっと彼女の髪を撫でた。
……会社がどんなもんなのか、分からないけど
あれだけデカくて有名な企業なら、相当数の社員がいるだろうし
知らない可能性だってあるかもな。