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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第18章 涙の告白
遼くんの大きな右手が、私の顔半分を塞ぐと同時に
遼くんの後ろを通り過ぎる、カップル達にチラッと見下ろされた。
……そうでした。
ここは会社でも大学でもない。
大人の夜景デートスポットだった。
「……ごめんなさい」
やっと落ち着いた私を睨んでから、遼くんは静かに手を外すと
私の隣りに座り直して、溜息を漏らした。
「……喚く元気があって、少し安心したけど」
「………!」
「その泣き顔の理由、ちゃんと説明しろ」
「………」
「……一体、何があったわけ」
胸のポケットから、煙草を取り出そうとした遼くん。
目の前のガラスに貼ってある禁煙マークを見て、再び手を戻す。
……夜景に照らされた横顔を、じっと見つめると
「……!」
「あー、なるほどね」
遼くんは私の方に振り向いて、ニッと口角を上げた。