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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第18章 涙の告白
……夜景に照らされて、ふっと微笑んだ遼くん。
私の手首からゆっくり外した、その左手の薬指には
いつものように、プラチナの結婚指輪が光っていた。
「………」
……分かってる。
その永遠の証を、目に焼き付けて
ずっと前から、数え切れないほど自分に言い聞かせてた。
遼くんには、人生を共に歩む、愛してる人がいるから
この想いを、彼に伝えてはいけない。
忘れることも、嫌いになることも出来ないから
私の願いは、一生叶うことがない。
……それでも……
「春菜?」
「………」
「……どうした?」
大人しくなった私の顔を、遼くんが不思議そうに覗きこむ。
……その鋭い瞳を、見つめ返して
私はゆっくりと息を吸い込んだ。
“ 春ちゃんの真っ直ぐな想い
……開放して、義兄さんに直接伝えなきゃ ”
“ たった1人だけが、一筋の光を差し込める
……そんな奇跡が、あるんだよ ”
“ 頑張ってね、春ちゃん ”