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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第18章 涙の告白
「……遼くん、あのね…」
「春菜」
……私の言葉を遮って、遼くんは放心したように続けた。
「……お前、なんで……」
「………!」
「お前がここに……来た、のって……」
普段通り冷静で、落ち着いているように見えたけど
……その声は、動揺によって途中で少し途切れて
遼くんの表情が、悲しみの色で満ちていく。
「……春菜、俺、言っただろ?
昨日大学で……」
「………っ」
「お前に触れたりしたのは、俺が悪いよ。
……だけど、あれは……」
……分かってるよ、遼くん。
私とユキが幸せになれるように、祝福のキスをしてくれたのに
……ごめんね
遼くんの願いを叶えてあげられなくて、ごめんなさい……
「……遼くんに、逢いにきたの」
「……春菜……」
「遼くんが好き、って、私…」
「春菜…っ」
膝の上で、自分の拳を握り締めて
遼くんは真剣な表情で私を見つめた。
「……春菜、ダメだ」
「………!」
「戻れよ。
今からでも遅くない」
すぐに逸らされた視線が、窓の外に向けられる。
「……頼むから、戻って。
雪斗の傍にいてやれよ」