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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第18章 涙の告白
………今の一言で
私は、全てを悟った。
戻れと言ったのは、大学でも送別会でも無くて
ユキの傍にいてやれと言った遼くんは
きっと、全てを分かっている。
私が、遼くんをずっと好きだったこと
ユキが、私の背中を押してくれたこと
……そして、私の想いを
受け取ってはいけないと、心に決めて
鍵をかけて、固く扉を閉ざしているということ
……だけど……
「………っ」
震える遼くんの左手が、僅かに動いて
涙を堪える私の右手に近付いて
ほんの少しだけ、その間の距離が縮まった。
「……雪斗は、もう長い間自分の本音を口にしてねぇんだ」
「………!」
「自分を後回しにして、周りの幸せばかりを願うから
欲しいものも、願いも、我慢しちまってる」
「………」
「……あいつは、優し過ぎる」