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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第18章 涙の告白
……行けよと言った、遼くんの声が震えていて
離せと言った、遼くんの左手が私の手を強く握り締めるから
私はもう片方の手を重ねて、遼くんを包み込んだ。
切なくて、胸が張り裂けそうに痛い。
言葉と体が矛盾している、遼くんの苦しい想いが伝わってくる。
……どこにも行かないよ。
遼くんの手を、私は離したりしない。
「……遼く…」
「5年前から、自分の時間を止めてるんだ」
「………!」
「まだ、この世に生きてると……
偽った時間が、あまりにも長過ぎた」
遼くんは目を閉じて、小さく続ける。
「鎖を外したら、それは春菜にとっての苦しみにしかならないよ」
「………」
「俺は何を言われても構わない。
だけど、お前は……」
「遼くん」
……遼くんの言葉を、遮って
私は真っ直ぐ遼くんを見つめた。
“これからの関係性とか、将来のこととか
不安や迷いは色々あると思うけど
だけど今、春ちゃんがすべきことは…… ”