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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第20章 溢れる笑顔
……ジリジリと詰め寄られて、私の体がベンチの端からはみ出しそうになったから
やっと沙月が体を元に戻した。
「春菜の元へ、直接アタックしてきた野郎もいるでしょ」
「………!!」
「ふふっ♪ 図星だぁ」
「………っ///」
ニヤニヤと笑う沙月を見て、顔が急激に火照り出す。
……でも、実際……そう。
これがいわゆるモテ期なのかと勘違いしてしまうほど
会社の人だけでなく、取引先の人からも食事に誘われたりすることが多い。
慣れていない私は、その度にドキドキしてしまうけど
誰に何を言われても、ただひたすら謝って……
「全部断ってるのね」
「………!」
……心の声を、口にしてしまったんじゃないかと思った。
驚いて顔を上げると……
「時折、春菜の切ない顔が本当に綺麗だから……」
「………!」
「……見惚れちゃうのよ、私も」
ミディアムボブの髪を揺らして
沙月は、寂しげな表情で微笑んだ。