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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第20章 溢れる笑顔
沙月の笑顔が綺麗で、胸に熱い想いが込み上げてきて
私は視線を落としてしまった。
……誰にも言ってはいけない。
話す事はできない。
だけど……
「……今ね、すごく幸せなの」
髪を撫で続ける、温かい手を感じながら
私は下を向いたまま、ポツリと呟いた。
「ずっと閉じ込めていた想いを、受け取ってくれて
いつも優しくしてくれて、幸せなの」
「………」
「逢うだけで、痛くなるほど胸が締めつけられて
……包んでくれるだけで、泣きたくなるほど嬉しいの」
「……春菜……」
「……だけど」
…… “ だけど ” ?
何言ってるの私。
幸せで、嬉しくて、これ以上求めることなんて何も無い。
……遼くんが、私を見てくれている。
キスをして、抱き締めてくれる。
それなのに……
「……春菜?」
「土曜日、だけ」
「……えっ?」
「土曜日は、ちょっとだけ心が苦しい……」