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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第20章 溢れる笑顔

“ 明日の天気予報は晴れだから、外で会おうぜ ”


……昨日の夜、遼くんから届いたメール。

すぐに電話して、行かないよって何度も伝えたのに

待ち合わせ場所と時間だけ告げられて、一方的に切られてしまった。


「……遼くんの、バカ」


天気予報が晴れでも雨でも、外で逢うこと自体がダメなの!

遼くんはただでさえ目立つし、業界では有名人なんだから。

百歩譲って北極か南極で逢うのなら、まだ分かるけど

都心から1時間半かかるこの場所でも、誰か知り合いに見つかる可能性はゼロじゃない。



“ 大丈夫だよ春菜。
俺、変装していくから ”



「〜〜遼くんのバカ。バカもの。大馬鹿者!」



独り言と言えないレベルで、ブツブツとつぶやいてしまう。

だいたい今日は土曜日なわけで

いつもなら、桜さんのお墓参りをする日だ。

それなのに一体何を考えてるんたろう。


「私とデートなんてしてる場合じゃ…
……!」


……海へと繋がる、手前の境川。

その上に架かる歩行者専用の橋の、入口に近付くと


「………」


……え……?


大股で進んできた足が、ピタッと止まった。


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