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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第20章 溢れる笑顔
……トクンと、心臓が鳴って
きゅうっと潰されてしまうくらい、締めつけられた。
“ 眠れない夜は、1人でいたらダメでしょ ”
“ 春ちゃんは間違ってないよ ”
“ ……大丈夫だよ、春ちゃん ”
あの日も、あの夜も
穏やかな声で、優しい言葉をかけてくれて
太陽のような笑顔で、ユキは私を包んでくれた。
……何も言わなくても
ユキは、まるで私の心の声が聞こえているかのように
いつも私を救ってくれていた。
「………っ」
……サヨナラをしてから、2ヶ月
こんな気持ちになるのは、久しぶりで
麦わら帽子を両手で持って、下に下げようとすると……
「はい、隠しちゃダメ」
髪から手を離したユキが、私の帽子をひょいっと持ち上げた。
「顔が見えなくなっちゃうから、帰るまでこれは没収ね」
「………!」
「代わりに俺がかぶる」
「……ユ、ユキ…」
ふわふわの髪の上に、片手でポスッと帽子を乗せると
短いツバの下から、上目遣いでユキが笑った。
「どう? 似合う?」