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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第20章 溢れる笑顔
俺って偉いと言ったユキが、再び足を進めたその先に
沢山の人で賑わう、海沿いの水族館が見えてきた。
……4月の中旬、彼と手を繋いで訪れた場所だ。
「春ちゃん、もう一度ここでもいい?」
「えっ?」
「俺、動物が好きなんだよね。
海の生き物は、特に好き」
「………!」
「この前行ったばかりだから、春ちゃんは飽きちゃうかな…」
「そ、そんなことないよ!」
入口の手前で止まったユキの横へ、早足で近付いた。
……空は快晴で、爽やかな初夏の風が気持ちいい。
最近は仕事が忙しかったし、土日もほとんど外には出ていなかったから
久しぶりに休日という楽しい空気を感じて、心が軽くなる。
「わ、私……水族館大好き。
何度でも行きたいって思っちゃう」
「ほんと? 良かった。
ペー助とぺー子に会いにいかないとね」
「……へっ?」
「水際でバタバタしてた奴ら、覚えてない?
ちゃんと泳げるようになったか確かめないと」
「……ぷっ///
どの子か覚えてるの?」
「もちろん。 きっとまた俺に敬礼してくるよ」
「えぇ? ほんとにー?」