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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第21章 来世の、来世で
笑い声から一転、穏やかなトーンに変わったから
「……これ、で、いいって……?」
ドキッと心臓が跳ねて、私はユキにそう聞き返した。
……海風が、金色の髪を揺らしている。
「今日、春ちゃんに逢えて……笑顔を見ることが出来て
俺、感動しちゃった」.
「………!」
「すっげー嬉しかったよ。
俺の前だと泣いてばかりだったから」
「………っ」
「……やっぱり、あんたは笑ってる方が似合う」
目を細めて、ユキはふっと微笑んだ。
……急激に、鼓動が早くなって
思わず自分の胸に手をあてて、ぎゅっと服を掴む。
「春ちゃんの色んな表情、これからもこうやって見れるなら
“ 弟 ” って立場も案外悪くないかもね」
「……えっ…!?」
「義兄さんと一緒になるなら
俺は春ちゃんの弟になれるでしょ?」
「……ユ、キ…」
「あれ、違うか。
どんな関係性になるんだろ」
腕を組んで考える素振りを見せたけど
……ユキは納得したように、小さく微笑んだ。
「どんな肩書きでもいいんだ。
……俺はこの先も、春ちゃんの幸せな笑顔を見ることができる」
「………っ」
「それで、充分」