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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第21章 来世の、来世で
……心が、きゅうっと締めつけられて
ユキの切ない瞳を見続けることが出来なくて
目頭が熱くなった私は、視線を反対側に向けた。
「1ヶ月くらい前だったかな。
土曜日に、姉貴の墓の前で義兄さんと会ったんだよ」
「………!」
「お互い、当たり障りのない会話しかしなかったけど
あの人の顔が、前よりもっと優しくなってた」
「………」
「……安心したよ。
春ちゃんが、義兄さんの傍にいてくれるおかげだね」
……ユキの言葉は、温かく私の中に溶け込んできて
暗く閉ざしていた心に、柔らかい光を照らしてくれる。
……だけど
「……でも、遼くんは……」
「ん?」
「遼くんの心は、まだ苦しいままだと思うの」
「……!」
「2人の時は、いつも悲しい顔をさせてしまうから」
“ あの人を救えるのは、あんたしかいないんだよ ”
“ 春菜……俺を助けてくれ…… ”
2人はそう言ったけど……
「……私……
本当に、遼くんの光になれるのかな……」